
鍼灸師が扱う東洋医学について簡単にお伝えしていきますね。
東洋医学とは
「東洋医学」は日本で独自に発展した医学になります。厳密にはアラビア以東の全ての医学を表します。「ユナニー医学」「アーユルベイダー医学」「チベット医学」「中医学」「韓医学」などを含みます。ここでは「日本漢方医学」を元にお話しします。
日本の東洋学は中国で生まれた中医学を元に明治時代まで日本の医学として発展しました。医学士免許規則により西洋医学のみが扱われその後、東洋学は衰退しました。
近年では、生活習慣病などの「未病治」が重視されるようになり、東洋医学も見直されるようになりました。
「漢方薬」「鍼灸」「按摩」「食養」「導引」が東洋医学に含まれます。
例えば、按摩(マッサージ)で肩こり、腰痛の改善や副作用の強い薬の代わりに漢方薬を処方するなど多岐に渡って活躍しています。
東洋医学では患者様の自覚症状と個人差を重視する医学で、「漢方」「鍼灸」「按摩」「食養」「導引」などを用いて、身体全体の調整をするものです。
東洋医学の得意な疾患
東洋医学はあらゆる病気に対応はできますが、その中でも得意とする分野が存在します。
結論としては治したい病気、症状に対して東洋医学と西洋医学のそれぞれの良いところを利用していくことが最良だと考えられます。なぜなら、双方から別の観点からアプローチができるからです。

冷え性、不定愁訴など西洋医学でははっきりと病気と認められないもの

西洋医学の治療薬では副作用が強く出てしまう疾患

喘息、慢性疾患など西洋医学では一時的に完治しても再発しやすい疾患

西洋医学の検査では異常が出ないが自覚症状があるもの

生活習慣病、更年期障害のような体質の改善を行わなければいけないもの

妊娠中の疾患
五行と身体の関係

東洋医学では、万物を「木・火・土・金・水」の五つの属性に当てはめています。この「五行説」は中国古代の理論であり、人体の生理や病理にも当てはめられます。
この「木・火・土・金・水」五つの属性は互いに助け合い、また抑制し合っている関係性にあります。
五行はそれぞれ固有の要素を持っています。
- 木:草木が芽を出し、万物が生じる春を象徴
- 火:火が燃えている様、万物が長じる夏を象徴
- 土:万物を育てる大地、四季の全てに関わりを持つ
- 金:堅く鋭い金属を意味し、季節は秋で収穫を表す
- 水:流れる水を表し、地の中で万物を生み出す源となり、冬を象徴
五行は相互の間には助け合う「相生関係」と相互に抑制し合う「相剋関係」があり、東洋医学ではこの考えが人間の身体や病気の治療にも応用されています。
さらに、東洋医学では内臓の中でも主要の機関である五つの臓器を『肝』『心』『脾』『肺』『腎』と言い。これを「五臓」と言い表します。五臓以外の空洞状の五つの臓器を『胆』『小腸』『胃』『大腸』『膀胱』と言い。これを「五腑」と言い表します。そしてこの五臓五腑は五行に分類されます。
五行 | 五臓 | 五腑 |
---|---|---|
木 | 肝 | 胆 |
火 | 心 | 小腸 |
土 | 脾 | 胃 |
金 | 肺 | 大腸 |
水 | 腎 | 膀胱 |
「木」と「肝」「胆」の働き
- 肝は木に似て、伸びる様子(気血水を巡らす)
- 肝機能の中枢であり、血の運行・調整をする(蔵血)
- 気の身体の隅々まで運行する(疏泄)
- イライラする、怒りぽくなる
- 精神不安を起こしやすい
- 筋肉が引き攣る、痙攣する
- 目の症状、疾患が多い
- 胆は胆汁(消化酵素)を蓄える
- 決断を司る器官であり、決断や勇気に関わる
- 決断力や判断力の低下
- イライラ、不眠
「火」と「心」「小腸」の働き
- 心は血を循環させる
- 五臓の中で最も活動しているので機能が衰えると生命維持できない
- 精神の働きを統括する
- 味覚異常
- 循環器疾患(心臓病など)
- 消化活動
- 気血の元になる栄養素を抽出
- 栄養素を脾に送る
- 軟便、下痢
- 下腹部の痛み
「土」と「脾」「胃」の働き
- 栄養分を作る
- 消化吸収を支配する
- 栄養分を分配
- 食欲不振
- 下痢
- 胃もたれ
- 脾と一対になって働く
- 消化吸収を支配
- 上腹部の張り
- 悪心嘔吐
- 食欲不振
「金」と「肺」「大腸」の働き
- 肺は呼吸を司どる
- 全身の気のコントロールを行う
- 皮膚、血管の動き、鼻、喉、神経の働きを担う
- 疲れやすい、やる気が出ない
- 皮膚の乾燥
- 冷え性、寒気
- 咳、声が枯れる
- 大便を作って排泄する
- 残りかすから水分を吸収
- 便秘、下痢
- 下腹部の痛み
「水」と「腎」「膀胱」
- 泌尿器系の機能を持つ
- 生殖系の機能を持つ
- 成長発育の機能を持つ
- 排泄異常
- 老化の進行
- 不妊、インポテンツ
- むくみ、難聴、腰痛
- 尿を溜め排泄する
- 尿もれ
- 頻尿
五臓、五腑には各機能がありその機能が低下、不調になるとそれに関係する症状が身体に出てくるようになります。
患者様が訴える、肩こりや腰痛などもこれらの臓腑が関係している可能性があります。
なので、肩だけ、腰だけを施術するのではなく、全体を診て総合的な施術が必要になってきます。
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